『ルドルフ・シュタイナー希望のある読書』2023年12月1日(金)88回2023年12月01日

 R・シュタイナー著『神智学』(高橋巌訳、ちくま学芸文庫)の9回目の読書です。
 今回の読書は「三つの世界」―「一 魂の世界」(p101~120)です。
 「 魂の世界」については、心の深層部分としても考えています。けれども、「魂」と「霊」との関係、「魂」と身体の「脳」との関係については、今まで深く考えていませんでした。『神智学』において、身体・魂・霊の関係について考えるチャンスをいただきました。
 前章の「霊の再生と運命」で取り上げたp100~101ページの文章があります。今回再度下記に取り上げさせていただきます。この文章を念頭に置きながら、今回の「一 魂の世界」の章を読み、思考を深めていきたいと思います。
 
 「三つのことが、誕生から死に至る人間の一生を規定している。そしてこのことを通して、人間は、誕生と死を超越している要因に、三重の仕方で依存している。すなわち肉体は、遺伝の法則に従っている。魂は、みずから作り出した運命に従っている。人は人間の魂に よって作り出されたこの運命を、古い表現を用いて、カルマと呼ぶ。そして霊は、転生の、生れ変りの法則に従っている。」
 
 一人ひとりの人間が関わっている物質界・魂界・霊界の三つの世界の存在とその関係について、私自身が理解を深めていくことが先ず問われています。今回の読書「三つの世界」―「一 魂の世界」(p101~120)を通して、私の理解力、認識し易い範囲を下記に取り上げさせていただきました。

P110~111
 「われわれの胃、心臓、肺、脳を構成し、支配している素材と力が、物質界のものであるように、われわれの衝動、欲望、感情、情熱、願望、感覚といった魂の特性は、魂的世界のものである。人間の魂は、肉体が物質界の一部分であるように、魂的世界の一部分なのである。物質界と魂の世界との第一の相違は、後者の世界のすべての事物や本性が、前者の世界の場合よりも、はるかに精妙で、動的で、自由に形態を変えうる、ということであろう。…」

P111
 「物質界の構成体が、空間上の拡がりと空間上の運動とを固有のものとしてもっているように、魂界の存在者や構成体は、敏感な反応と衝動的欲望とを固有のものとしてもっている。それ故、魂の世界は欲望=願望の世界、もしくは「要求」の世界と呼ぶことができる。」
 「…衝動、願望、要求は、魂の世界の素材に対する名称である。この素材部分は、「アストラル的」と呼ばれる。…」

P112
 「魂の世界には、物質界とまったく異なる法則が支配している。ところが魂の構成体の多くは、当然他の世界の構成体と結合している。たとえば人間の魂は肉体と結合しており、人間の霊とも結合している。それ故、人間の魂の中のいとなみは、同時に体や霊の世界の影響をうけている。魂の世界を観察するときには、このことが顧慮されなければならない。そして他の世界の働きによるものを、魂の法則であると思ってはならない。」

P113
 「魂的事象と物質的事象のひとつの重要な相違は、前者における相互作用が本質的に内的であるというところにある。」
 「…だから魂の空間に歩み入る人が、物質界から持ち込んだ規則をそこに当てはめようとすると、ありとあらゆる誤謬が生じることになる。」

P113~114
 「魂の世界の事情に通じるための第一の仕事は、物質界で個体、液体、気体の区別を立て るのと似た仕方で、その構成体を分類することであろう。そのためには、もっとも重要な、二つの根本的な魂の力を知らねばならない。すなわち共感と反感とである。魂的構成体の中で、この二つがどのように作用し合っているかが、その構成体の種類を決定する。共感とは魂的構成体が他のものを惹きつけ、他のものと融合しようとし、そして他のものとの親和関係を生じさせる力である。反感とはこれに反して、他のものに反発し、他のものを排除し、自分の特性を主張しようとする力である。」
 「三つの種類の魂的構成体が、このような共感、反感の作用に従って、まず区別されねば ならない。そしてこれらの種類の相違は、共感と反感との相互関係如何によっている。この二つの基本力は、そのいずれの場合にも、存在している。」

P114~115
 「まず第一の種類の構成体を取り上げよう。それは、周囲にいる他の構成体を共感の作用によって惹きつけようとする。しかし同時に、自己の中に働いている反感の力が、周囲にいるものを押しのける。その結果、外に向かっては、もっぱら反感の力だけしかもっていないように現れるが、そうではなく、共感と反感がともにそこには存在しており、ただ後者が優勢であるに過ぎない。反感が共感にまさっているのである。
 この構成体は、魂の空間の中で、自己中心的な役割を演じている。自分の周りにいる多くのものを押しのけ、わずかなものだけを好ましいものとして自分の方へ引き寄せる。それ故、この構成体は、変化し難い形態を保って、魂の空間を移動している。それらの共感の力は、貪欲な姿を示している。しかもこの貪欲は、満足することを知らぬかのようであ る。というのは、支配的な反感が、近寄ってくる多くのものを押しのけてしまい、魂は充たされようがないからである。この種類の魂的構成体を、物質界の何かと比較しようとするなら、固体がこれに対応しているといえるだろう。魂的素材性のこの領域を燃える欲望と呼ぶ。
 動物や人間の魂に混入しているこの欲望の熱こそ、低い感覚的衝動という、彼らの支配 的な自己中心本能を決定しているものなのである。」

P115~116
 「魂的構成体の第二の種類は、この両基本力が均衡を保ち、したがって共感と反感が同じ強さで作用している場合である。この構成体は、周囲のものに一種の中立性をもって相対している。それは特に惹きつけたり、押しのけたりすることなく、他と類似したものとして、他に働きかけている。それは自分と周囲との間にいわばはっきりした境界を引こうと しないで、周囲にいる他のものたちを絶えず自分に作用させているから、物質界の液体に比することができるだろう。
 …それは第一のもののように自分本位に魂の空間を移動することなく、いたるところで他からの印象を受け容れ、出会うものの多くと親和している。このような魂の素材を、流動的感応性と表現することができるであろう。」

P116
 「魂的構成体の第三段階は、共感が反感を支配している段階である。反感は、自己中心的に自分を主張するが、今や周囲への事物の傾倒がこれにとって代る。このような構成体が 魂的空間の中にいる場合を考えてみよう。それは周囲の諸対象に及ぼす引力圏の中心となっている。このような構成体を、特に願望素材性と呼ぶ必要がある。なぜなら、反感が存在するにしても、その働きが共感より弱いので、共感力が、その引力を及ぼすすべての対 象を、この魂的構成体自身の領域内へ引き入れようとしているからである。だからその限 りにおいて、その共感はまだ自己中心的な基調をもっている。願望素材性は、物質界の気 体と比較されうる。気体があらゆる側面に膨張しようとするように、願望素材性もあらゆる方向に拡がるのである。」

P116~117
 「魂の素材のより高次の諸段階は、反感が完全に退き、共感だけが本来の作用者として現 れることによって特徴づけられる。その場合、この共感の働きは、最初は魂的構成体そのものの諸部分の内に現れる。この諸部分は、相互に惹きつけ合う。或る魂的構成体内部の共感の力は快と呼ばれるものの中に現れる。そしてこの共感の、どのような減少も、不快なのである。寒さが減少した熱さに過ぎぬように、不快はただ減少した快に過ぎない。快と不快とは、人間の感情の世界(狭義での)の中で働く共感と反感なのである。この意味で感じるということは、魂が自分自身の内部で活動するということである。快・不快の感 情の在り方次第で、魂の気分がきまってくる。」

P117~118
 「共感を自分自身の内部での活動に留めない魂的構成体は、もう一段高次の段階にいる。この段階は、すでに第四段階がそうであったように、共感の力が対抗する反感によって妨げられぬ点で、低次の三段階と区別される。これら高次の種類の魂の素材によってはじめ て、多様な魂的構成体がひとつの共同の魂的世界としてまとまるのである。
 反感が問題になる間は、まだその魂的構成体は自分だけのために、他のものによって自分を強め豊かにすることのためにのみ、他のものと係わろうとしている。反感が沈黙するとき、伝達し、啓示してくれる存在としての他のものを迎え入れる。物質空間における光に似た役割を、この高次の形式の魂の素材は魂的空間の中で演じる。この魂の素材は、或 る魂的構成体をして、他の存在、他の本質を、これらの存在、本質そのもののために、いわば吸収するようにさせる。別のいい方をすれば、他の存在の光で自分を照らすようにさ せる。
 魂は、これら高次の諸領域を知ることによって、はじめて真の魂の在り方に目覚める。魂は、暗闇での重苦しいいとなみから解放され、外に向って開かれ、輝き、みずから魂的空間の中へ光を投げかける。…」

P118~120
 「地下室に置かれると、植物の生長がとまるように、活動をうながす高次領域の素材がなければ、魂的構成体も成長することができない。このような高次領域の素材は、魂の光、魂の活動力、そして狭義での魂本来の生命である。これらは高次領域から出て個々の魂に付与される。
 それ故、魂の世界は、三つの低次領域と三つの高次領域とに区別される。そしてこの二つは第四のものによって仲介されているから、魂の世界は以下のように区分できる。

一 燃える欲望の領域
二 流動的感応性の領域
三 願望の領域
四 快と不快の領域
五 魂の光の領域
六 魂の活動力の領域
七 魂の生命の領域

 はじめの三領域における魂的構成体の特質は、共感と反感との関係から得られている。第四領域では、共感が魂的構成体自身の中だけに働いている。高次の三領域を通して、共 感の力はますます自由になる。輝き、活気づけながら、この領域の魂的素材は、魂の空間に吹き渡り、自分だけでは自己存在の中に埋没しかねない魂的構成体を覚醒させるのである。
 蛇足ながら、疑問を残さぬように、ここで強調しておくなら、魂の世界のこの七区分は、決して互に切り離された領域を示しているのではない。個体、液体、気体が物質界で互に 浸透し合っているように、魂の世界における燃える欲望、流動的感応性、そして願望の領域の力は、互に浸透し合っている。そして、物質界で熱が物体を貫き通り、光がそれを照らし出すように、魂的世界での快、不快や魂の光にも同様のことが生じる。さらに同じことが魂の活動力と本来の魂の生命にも生じている。」

 当書籍、R・シュタイナー著『神智学』(高橋巌訳、ちくま学芸文庫)を読書することにより、人間の心領域の魂の世界について、その一部を知ることができました。魂という言葉を聞いたり、見たりしてきましたが、魂とは何か、その深くを考えてきませんでした。
 共感、反感、快、不快、魂の世界の七区分等々について、この『神智学』で知ることができました。今後、さらに詳しく知り、思考していきたい思います。