『ルドルフ・シュタイナー希望のある読書』2023年9月9日(土)87回2023年09月09日

 R・シュタイナー著『神智学』(高橋巌訳、ちくま学芸文庫)の8回目の読書です。
 今回の読書は「霊の再生と運命」(p71~101)で、30ページにおよぶ文章です。
 この「霊の再生と運命」の章においては、99ページのやや後半から101ページの文章に、特に、注目したいと考えました。下記にこの文章を抜粋させていただきます。
 是非皆さま、『神智学』(高橋巌訳、ちくま学芸文庫)を手元に置き、併せてお読み下さい。

 「…肉体は、遺伝の法則に従っている。一方、人間の霊は、繰り返して生れ変らねばならない。転生の法則は、人間の霊が前世の成果を次の生の中に持ち込むということの中にある。魂は現世の中に生きている。しかし現世の中に生きているということは、前世の生活から独立しているということではない。生まれ変わった霊が、前世から自分の運命をもってくるのだから。
 そしてこの運命は、人生を規定している。魂がどんな印象をもつことができ、どんな顔 望を充足させることができ、どんな喜びや苦しみをもち、どんな人間たちと出合うことに なるか、これらすべては、これまでの霊の転生の中で、どのような行為が為されてきたか にかかっている。魂は、ひとつの人生の中で結びついていた人たちに、次の人生の中でも めぐり合わずにはいないであろう。なぜなら、この人たちとの間で為された行為は、その 結果をもたざるをえないからである。
 ひとりの人の魂だけでなく、この魂と結びついていた他の魂たちも、同じ時代に生れ変 ろうと努めるだろう。魂のいとなみは、このように、人間の霊がみずから作り出した運命 のひとつの結果なのである。
 三つのことが、誕生から死に至る人間の一生を規定している。そしてこのことを通して、人間は、誕生と死を超越している要因に、三重の仕方で依存している。すなわち肉体は、遺伝の法則に従っている。魂は、みずから作り出した運命に従っている。人は人間の魂によって作り出されたこの運命を、古い表現を用いて、カルマと呼ぶ。そして霊は、転生の、生れ変りの法則に従っている。
 だから、霊、魂、身体の関係を、次のように言い表すこともできる。霊は不滅である。誕生と死は、物質界の法則に従って、身体を支配している。運命に従う魂のいとなみは、この世に生きる限りは、この両者に関連を与えている。人間の本質について、これ以上さ らに認識をもとうとするなら、人間が属している「三つの世界」そのものを知ることが前 提となる。次の章では、この三つの世界を扱うことになる。
 人生の諸現象に向き合い、人生の真実に応じた考察から得た思想を、最後まで推し進め ていくことを怖れないなら、思考の論理だけを通してでも、われわれは輪廻転生や運命法 則の観念に行きつくことができる。「霊眼」を開いた見者にとって、過去の諸人生が、開かれた巻物のように、体験として現存するということが真実であるように、この真理が思索する理性の中で輝くことができるのも真実なのである。」

 シュタイナーが述べている霊、魂、身体の「三つの世界」は、事実であり、真実であること。そのように私の心は感じています。そして、その証明が今後の課題であること。
 そのように私は思っています。

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